コオロギの、鳴き声が、未だに聞こえます。
11月でも、夜遅くに遠くから聞こえてきました。
これってなんて鳴いているかって「肩させ裾させ綴れ捺せ」と冬支度に励めって、鳴いてるそう
です。
その昔、針仕事をしていた母が言っていたのを、懐かしく思い出しました。
杜鵑が「テッペンカケタカ」言うてるみたいに、聞く側の解釈よね。
冬に向かい、着物の肩や裾のほつれや破れを、綴らなあかんよーって「綴刺蟋蟀・ツヅレコオ
ロギ」が言ってくれているそうなんです。
着物の肩は、荷物をしょうから破れます、ま、今で言うリュック。
着物の裾は、昔はほとんど歩いていたから、裾がほつれますよね。
それで、今だとチャッチャと処分するけど、綴くります。
お直しして着続けるのです。
「ほんまかいなーと思うけれど」昔の人は蟋蟀の鳴き声をそう聞いて、針仕事に励んだそうで
すよ。
よく聞こえたでしょうね、夜はきっと静かだったろうし。
テレビもスマホもないから、囲炉裏端で、ひたすらチクチク刺し子や、あて布なんかして、秋
の夜長お修理したんでしょうね。
令和の蟋蟀は、なんて鳴いているのかしら?
「税下げ、税下げ、賃上げ、賃上げ、物価下げ」かもね!
昭和のおばはんの、取るに足らないお話でした。