「能の名曲からインスパイアされた8篇のものがたり」って帯に書いてあり
ます。
一篇30ページくらいで読みやすいです。
お能ガイドを参考にしながら読みましたが、裏を返すとこんなに面白い
物語になるのかと。
作家 澤田瞳子さんのとてもわかり易い文章で一気読みでした。
読んでる最中にちょうどテレビにコメンテータかなんかに出演してらして、
びっくり、素敵な女性でしたよ。
中ではタイトルにもなっている「稚児桜」が良かったなー。
最後の「葵の上」もいいけどね。
こちらは、場面描写が素晴らしく最後の儚く散る桜の花びらまで、はっきり
と見えましたわ。
内容はと言うと、貧しさのために女人禁制のお寺に売られた美少年「花月」
とその世界に全く馴染もうとしない、泣いてばかりの「百合若」の物語。
食べざかりなのに、まともにご飯が食べれないから、お腹を満たすために、
僧侶のお酒や閨のお供をしなければならないの。
僧侶が残した食べ物にありつけるから。
それもこれも声変わりするまで。
男っぽくなったらいけません、お化粧が似合う時期までよ。
ある日花月の父親が、花月を引き取りに来るのですが、花月は百合若を、自
分と偽り、父親のもとに引き渡すのです。
自分の顔も忘れてしまった薄情な父への復讐か、弱虫な百合若への友情か、
意地悪か、哀しい残酷さが、切ないわ。
現代の世の中でも、親に見捨てられた少年が幼い兄弟達面倒を見るために歌
舞伎町あたりで働いていたりしますものね、ちょっと前そんな話ありました
よね!(泣)
いつの時代でも、変わってないのか。。。
オットット、話がそれましたけど、難しそうなお能が、澤田さんが噛んで含
めるように、身近にかりやすく、とっつきやすくして下さいました。
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