本屋さんで、ジャケットカバーの素晴らしさに惚れまして、つい買ってしま
いました。
カバー画は、村上 豊氏
帯には時代の波に翻弄される侍たちの悲哀と書いてあります。
こうゆう買い方もある、浅田次郎さんですもの、外れは有るまい。
何故か言い方も時代劇。
六編からなる短編小説で、浅田次郎さんの祖父から聞かされた本当か嘘かわ
からん話に尾鰭をつけて小説となったとか。
一番最初に大笑いしたのは、作者のおじいさんが、茶筅でお茶を立てた後
その茶筅を、べろりと舐めるってとこで、大笑い。
最初から悲しいやら可笑しいやら、切腹を奥さんにも娘にも快く勧められ、
こんな言い方可笑しいかもしれないけど、本当に「お腹召されませ」と勧め
られます。
お家を守るために。
全編すべてお武家社会の悲喜こもごもを面白おかしく、時々現代社会にタイ
ムスリップしながら、最後はあやふやなままなのだけど、それは読者に任せ
っぱなし。
まるで落語を聞いているみたい。
読みながら泣いたり、笑ったり、忙しいですよー。
幕末から明治初期にかけてのラストサムライたちが、そして女性たちも、
古い慣習に抗いながら生き延びていくエネルギーが感じられます。
いつの時代でもそうなんですけどね。
読了するのに二日もかからないけど、もう一度ゆっくり読みたくなる本。
電車の中で読むのは辞めといたほうが良い種類の本です。